幼稚園
年少(4さい)
《生きているしょうくん》
年少(4歳)の頃、 入園式の次の朝、ゆうちゃんが「ママ、生きているしょうくん、もうバスに乗ってるかもしれない、もう幼稚園に行っているかもしれない、きっとそうだよ、生きているしょうくん、もうお庭に来ているかもしれないから見てきて。」って言ったので、ママが、「でも生きているしょうくんはいないかもしれないよ」というと、「きっといるよ、見てきて」と言うので見に行くと、やっぱりいなかった。悲しくて、涙が出てきた。ゆうちゃんに、泣きながら「やっぱり生きているしょうくんいなかったよ」と言ったら、「ママ泣かないでって」なぐさめられた、しょうくんは本当は、お庭に来ていたの?
私は、姿は見えないけどいつも側に来てくれてゆうちゃんと一緒にいろんな事を楽しんでいるよ、と話しています。
《4人家族》
もうすぐ4歳です。姿が見えないしょうくんのことをゆうちゃんなりに消化しようとしているようです。でも、ゆうちゃんは、4個パックのジュースや、4個あるものを見ると、「ママ、これうちの家族にぴったりだね、4人家族だから4個でちょうどだ。」とても嬉しそうです。ゆうちゃんの今大好きな言葉は、『4人家族』です
。
ゆうちゃんはゆうちゃんなりに何か考えているのかな?
母親としては、ゆうちゃんの心の中で、しょうくんは過去の双子のきょうだいではなくて、いつまでも一緒に成長している現在進行形のきょうだいでいてほしいと願っています。
《しょうくんと結婚する》
幼稚園の暖かい先生方のおかげで、 ゆうちゃんの中のしょうくんを認めていただき、お友達にもしょうくんの話しをよくしていました。「ゆうちゃんにも兄弟がいるんだよ、地震で死んじゃったけどね」と結構あっさりといっていました。
ゆうちゃんの「一番大好きな人はしょうくんで 大きくなったらしょうくんと結婚する」 とよく言っていました 「どうやったらしょうくんに会えるの?」と聞かれていました。
《神様の存在》
4歳に近づくと、自分のいる世界と死んでしまったしょうくんの世界が違うことがわかり始め、しょうくんは、神様のところにいると言い始めました。
新築した家の庭のひまわりといっしょ
年中(5さい)
《しょうくんに会いたい》
5歳になって、少しずつ「死」がわかってきて、しょうくんと結婚していけど、死んじゃっていないからどうやって結婚するのかな?なんて言いながらも、しょうくんと結婚するといっていました。
それと、新しい担任の先生に、もうしょうくんの話をした?先生はしょうくんのこと知ってる、すごく気にしていました。私が、先生が家庭訪問で家に来てくれたから、もうしょうくんのことは知っているよ、と話したら、幼稚園でもまたしょうくんの話をするようになったそうです。
帰りのバスの中でも、お友達にしょうくんの写真を見せて帰ってくるときもありました。また、「しょうくんに逢いたいよ」、と泣いたこともありました
《しょうくんが死んでしまったときの事》
ある日、急に「ねえ、ママ、しょうくんが死んだとき、ってあの時?」と聞いてきました。私が、あの時って?って、聞いたら、「十字架の付いているエレベータに乗ったとき、あの時にしょうくん死んだの?」
初め、何を言っているのかわからなかったけど、もしかして、火葬場での事かな、と思い、聞いてみると"十字架の付いたエレベーター"と"一人で病院のベットに乗ってエレベーターに乗った"と話します。
その時の事が、ゆうちゃんの中で<しょうくんが死んだとき>とつながっているなんて、なんだか不思議な気がします。潰れた家の中にいたときの暗闇でもなく、おばあちゃんの家でもないのですね。火葬場に行くまでは、しょうくんの姿があり、帰りには、見えなくなってしまったからでしょうか?
年長(6さい)
《しょうくん以外の生活》
6歳になり、いろんなとに興味を持ち始め、しょうくんのことを忘れ気味・・・・親としては、寂しいです。幼稚園も変わってゆうちゃんもしょうくんのほかに好きな男の子が出来たようで、しょうくん以外のこと結婚してもいいのと聞くようになりました。私としては、大変ショックなことですが、受け入れなければいけない事実です。いつか、こんな日が来るとは思っていましたが、もう来ちゃったの?と寂しかった。
もう一つ、ゆうちゃんは弟の子供(赤ちゃん)が大好きで、興味が、しょうくんよりその子に行っている様です。死んでしまった子は、どんどんみんなから忘れられていくのに、生きている子は、自分の事を主張して成長していくのだから・・・・
《しょうくんへのお花》
ゆうちゃんは、幼稚園の帰りなどに、お花や木の実などをつんだり、拾ったりしては
「ママ、これしょうくんにお供えしてあげようね」言っています。
《しょうくんとさよならした部屋》
この間、夜寝るときに、また、『ママ、しょうくんがエレベーターに乗ったときのお部屋覚えている気がする』と、言いました。
口で上手に説明できない様子で、今度は、紙に描いてくれることになりました。
4枚の紙に、部屋の4面の壁の様子を書き、「ママやゆうちゃんたちはここから入ってきて、しょうくんはこっちからベットのようなものに乗って入ってきた。そして、しょうくんが入ってきたドアの向こう側にはお花がいっぱいあったよ。そして、しょうくんは、十字架のついた、エレベーターに乗っていっちゃったの」などと説明しながら4枚の紙を張り合わせ、部屋を作った。
以前より、詳しく、絵を書いて教えてくれた。その場所は、火葬場で、しょうくんが入ってきたドアの向こうのお花がいっぱいある所は、お葬式をした部屋の事かもしれない。
『お葬式』の項目でも書く予定にしていますが、震災当時、お花が不足しているという状況の中で父の知り合いの方のお世話になって、お花畑のようなお葬式をしました。
どんな風にお花が並んでた?という私の質問に答えたゆうちゃんの説明は、お葬式の時のお花の並べ方と似ていました。
主人に話すと1歳半の事なんか覚えてないから、何か別の事をそう思っているのでは、と言われてしまいました。でも、私は、ゆうちゃんが少しでもしょうくんの事を記憶してくれるという事がうれしいいので、ゆうちゃんの事を信じています。
《子供の遊びのなかで》
ある日、夜になってゆうちゃんが急に泣き出しました。昼間のあそびのなかで、みんながしょうくんのお化けがいたと騒いだから、しょうくんのことが怖くなって、写真が見れないと手で顔をおおって泣いていました。子供にとっては、きっとだだの遊びだったのでしょう。でも、ゆうちゃんにとって大好きなしょうくんが怖いと思っているお化けになってしまったのです。
とってもショックだったようです。その後、色んな話をして、ようやくゆうちゃんも落ち着いてくれました。それから、しばらく、その後遺症が残りましたが、今は、その事に関しては落ち着いています。
きっと、しょうくんも、側にいて自分がお化けとして怖がられているのを聞いた、さぞ悲しかった事でしょう。悲しい日でした。
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