ママの想い


こんなママでいたいな。現実は……

イラスト by すずらん さん

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震災から7年目

11月


2001年11月27日

今日寝る時に、
ゆうちゃんが「ママ、ゆうちゃんね、じしんのことおぼえてないでしょ?でも、しゃたくにいるときのことをおぼえているようなきがする・・・・。おふろにたくさんカビがあったでしょ・・・。あのときは、しょうくんがいたとき?」
私は、将君がいたときも、いなくなったときもしゃたくにいたから、どっちかわからないね」と答えた。
今考えると、ゆうちゃん自身、将君がいたときの事を覚えていたいとおもっていたのかな?将君との生活で記憶に残っているものを優ちゃん自身探しているのかな?ゆちゃんの中で、社宅での思い出はほとんどないみたい。

将君とのつながりを探しているのか、ただ聞いただけなのか、私には、ゆうちゃんの本当の気持ちがわかりません。

でも、ゆうちゃんが疑問に思っていることを、私にごく自然と話せたことは、私にとってもゆうちゃんにとってもお互いにいい関係でいられているということかな?って、勝手にいいほうに思っています。

これからも、いろんな事を聞いてきてほしいし、自分の気持ちを話してほしいと思っています。私も、ごまかしたり、嘘をついたりすることなく、自然といろんな事を話してあげたい。

それにしても、お風呂のカビが、社宅での思い出になっているとは、ちょっと恥ずかしい・・・。あの時は、ご飯を作ったり まして、掃除なんてできない状態だったから仕方ないことだけどね。


2001年11月25日

今日は、車で1時間半のところにある『農業公園』というところに遊びに行ってきました。
バーベキューをしたり、サイクルをしたり、陶芸をしたり…でも、私が一番、楽しかった時間は、芝生の斜面を3人で寝ながら転がりおりたことかな?転がったのは、2年ぶりぐらいなんだけど(笑)年のせいか、目がすごく回った(+。+) 

あとは、ゆうちゃんと芝生に寝転がってぼーと空を見た事。二人で寝転がって色んな話をした。(パパは少し離れたところで一人で寝ていた)ゆうちゃんは「ママ、こうやって寝ているとすごく落ち着くね。自然がいっぱいだね。ここはあまり自然破壊してないね。」といってそこから離れなかった。目をつぶって、自然の音を聞いた。水車の音や、鳥の声、風に吹かれた草が揺れる音…
だたボーっとしていただけだけど、こういう時間を持つということは大切なことだなって思いました。

同じ場所で転がり降りている時には、気づかなかった色んな音が目をつぶって耳をすましていると聞こえてきて、ゆうちゃんと二人で感動していました。

紅葉もきれいだったし、空を飛んでいる トンビをじっと見ていたり…思いっきり秋を楽しんできました。

最後に陶芸をしてきたんだけど、ビアグラスを作るはずが、高さを出すのが難しくて、焼いて縮んでしまったら、ちょっと深めのそうめんつゆを入れる器になりそうだった。出来上がるは、40日から50日かかるそうで、送られてきてショックを受けそうだ(笑)。でも、優ちゃんと楽しんだ時間を大切にしたいから、結果はあまり気にしない…つもり(笑)
でも、そうめんつゆの器が送られてきたら、優ちゃんと大笑いしそう。

行くときの車の中で『ママ、ゆうちゃんが男の子だったらどうする?うれしい?』って聞いてきました。農業公園で芝生で寝転がっているときにも『ママ、ゆうちゃんね、男の子になりたかったな』って言いました。「どうして?」と聞くと『男の子のほうが、たくさん遊べて楽しそうだから』と答えた。

『ママ、ゆうちゃんがママの子供じゃなくて、ほかの子がママの子だったらどう思う?』って聞いてきたので。「ママのこどもは、ゆうちゃんと将君だけだよ」と答えた。『でも、違う子もママの子だよ?』と聞いたので、「確かに、違う子だったとしたら、その子がママの子ですごくかわいいけれど、今こうやってゆうちゃんと将君に会えたから、その二人がママの子でなくなるということは、考えられないし寂しいから、ゆうちゃんと将君じゃないといやだ!」といって、抱きしめました。

この話は、この間、まったく同じ事を友達と話していたばかり…。あの時は、ゆうちゃんのいない所で話していたので聞いていないはず。あまりにも友達と話した会話と同じだったので、びっくりしました。ゆうちゃんは何を思ってそういう質問をしてきたんだろう。
2001年11月23日

今日は、お友達家族とバーベキューをしました。久々のバーベキューですごく楽しかったよ(^o^)。優ちゃんも大好きなお友達と一緒で楽しんでいたみたい。お天気もよくて、いつまでも外で話していて、バーベキューの残り火で焼きいもをしました。ほくほくしておいしかった〜♪。

その時に、お友達が優ちゃんが、サイン帖に書いた言葉を教えてくれた。

質問「もしも願いがかなうならば・・・」
優ちゃんの答「将君に会いたい」

すごくうれしかった。21日の日記にも書いたけれど、私のいないところで私に気を使わずにこういう言葉を優ちゃんが書いてくれることすごく嬉しい。

しし座流星群は見ることが出来なくて、お星様にはお願いできなかったけれど、この優ちゃんの思いが将君に届くといいな。

この間、将君の夢を見た。といっても、将君のビデオを見ている夢♪ビデオの中で将君は元気に遊んでいた。私は涙も流さずに見ていた。
久々に夢に登場してくれた将君は、元気でなんか安心した。ゆうちゃんよりはずっとずっと小さい1歳半の将君だったけれど・・・

生きていれば、どんな子になっているんだろう?モーニング娘。の加護ちゃんのファンになっているかな?それとも、サッカーや野球などのスポーツをしているのかもね。
見ることが出来ないのに、真剣に色々考えてしまいました。

でも、考えているときってなんだかうれしかった。来ることない将君の将来だけど、優しい気持ちになれました。


2001年11月22日

今日、母の新車が来た。紺色の小さな車。今まで乗っていた車が、とうとう寿命になってしまったため買い換えた。

今までの車は、震災のときに、将君の死亡確認をされた病院から避難先の宝塚に移動するのに最後に乗った車です。母は、そのときの思いがあって、ずっとその車を乗り続けてきてくれた。私もずっと乗ってほしいと思っていた。

でも、走っている最中に何度もエンジン停止をしたりしてこれ以上乗るのは無理だと判断したらしい。新車を買おうと決めたときに、母は私に相談に来た。「将君が最後に乗った車をどうしよう・・・。」私の頭は、一瞬のうちにたくさんの事を考えた。そして、出した結論・・・。それは『廃車にしてもいいよ』だった。

何十年もおいておけるものであれば置いておきたい気持ちがある。でも、それは不可能なことだということもわかる。そばにいたパパも「廃車にしてもいい」という考えだった。

私が年老いて死ぬまでに、いつか廃車にするなら、今でもいいかなって思った。去年の私にはない考え方。

そういう気持ちの経過があったうえで、今日、新車が来た。将君の思い出の車の写真を撮る?と母がときいてくれたので写真を撮ることにした。

私の中で、もう大丈夫だという思いが大きかったけれど、実際、最後に将君を抱いて座った場所の写真をとったり、全体の写真を撮っているとウルウルしてしまった。

母が、「将君は嫌がっていないかな?」って、ぽつんと言った。母も色んな思いでこの車を今まで乗り続けてた。やっぱり寂しいんだろうな。

そして、私はその言葉にドキッとした。どうなんだろう?将君は、ずっと乗っていてほしかったんだろうか・・・?そのとき、私は『将君は、新しい車が来て喜んでいるよ♪』と答えた。一瞬、本当にそう思ったから…。そうであってほしいと思ったから。でも、涙が出そうになった。

普段、何気なく見ていたその車だけど、やっぱり色んな思い出がよみがえって来る。

『バイバイ、将君の思い出が詰まった車…。』
きっと将君ももういいよって言ってくれるよね(^o^)。

さあ、明日からは、新しい車でママと将君とゆうちゃんとで新しい車に乗って一緒に遊び歩こうよ!きっと、将君も楽しんでくれるよね』

そう思わないと、きっと私はずっとその車を廃車にできないだろうな。

実は、今乗っているうちの車もそろそろがたが来ている。二人を妊娠する前に、もうこどもはできないだろうと、思いっきり若者の車を選んだ…。それからすぐに妊娠…。
震災のちょっと前に子供たちを育てるには狭すぎるということで、新車を買おうと車屋さんに行った。結局、人気の車で納車は半年先だといわれ、その時は見送った。

その後すぐに震災。その車は、将君の思い出の車として買いかえれなくなった。前回の車検には、軽の中古が一台買えそうなぐらいの修理費を出して整備した。

この車も、いつかは廃車にするんだろうか。

今日、新しい車が来たときに、ゆうちゃんが言った。『ママ、うちの車は売らないよね?」私は、「うん、売らないよ」と答えた。ゆうちゃんは『どうして?将君の思い出があるから?』「そうだよ」『ママ、絶対にうちの車は、売らないでね』・・・・。

さあ、どうなるんでしょう?

明日にでも、廃車になる車の前で、家族写真を撮るつもり。


2001年11月21日

ちょっと早いけれど、ホームページをクリスマスバージョンに変えました。雪を降らしたり、マウスを持っていくと画像が変わったり・・・試行錯誤して頑張ってみた。MIDIも大好きな桑田さんの『白い恋人達』・・・曲も好きだけど歌詞も大好き。自分でもすごく気に入っていて用もないのにホームページを開いて、雪と天使をみながら「白い恋人達」の曲を聞いています(^o^)。

今日、ゆうちゃんの英語の先生からメールをいただきました。先日、ホームページのアドレスをお渡ししていたので、見てくださったというお知らせのメールと、授業での優ちゃんの様子を書いてくださっていました。

 
 『優ちゃんの心にはいつも将君がいます。
  レッスンで家族の事を扱い、ワークブックに家族の絵を描いた時、
  
優ちゃんは一番初めに将君の顔を描いていました。
 
  
“His name is Sho."ってしっかり答えてくれました。
  そして、将君のことを教えてくれました。大好きなんですね!
  将君も、優ちゃんに“His name is Sho."って
  紹介してもらえて、とても嬉しいと思います。

  将来、優ちゃんが世界に目を向けたとき、
  “I have a brother.  His name is Sho."と
  元気に言えて、ママやパパの気持ちも、
  そして自分の考えもしっかりと色々な人に
  伝えられるように、少しでも力になれたらと思っています。』

素敵なメッセージをいただきました。先生のお気持ちやゆうちゃんが、私のいないところでもゆうちゃんの言葉で、将君の事をいろんな人に伝えている事を知って、なんだかうれしくて、そのいただいたメールを読みながらウルウル来てしまいました。

先日も、クラスのお友達のお母さんに兄弟はいるの?と聞かれて、「地震で死んじゃった」というようなことを話したみたい。

ゆうちゃんの中で、将君の事をゆうちゃんなりに受け止めたり表現したりしているんだなって感じました。小さいとばかり思っていたゆうちゃん・・・随分、いろんな事を考え感じているんだろうなって思いました。

今日、震災で亡くなった方の色んな思いの新聞記事をみました。震災で亡くなったのは6400人・・・、記事はその中の一部です。それを読むと前を向いているはずだった自分が、一度にあのときに戻ってしまう感じがして、私はそれを読み続けることができなくなりました。

しっかりと気持ちを持っているつもりでも、一瞬にして不安定になるんだなって改めて感じた瞬間でした。

2001年11月7日
今日、将君がいるときから続けていた双子のサークルの回覧ノートをやめることにしました。
それをやめてしまうことは、双子の親であることを放棄してしまう気がしていたし、将君がいるときに一緒に色んな話をしてきた仲間で、生きている将くんの事を知っていてくれる人達だったからずっとできないでいた。でも、みんなの双子ちゃんたちの話を何の抵抗もなく読むことは、結局できないで7年近くが過ぎた。

回ってきた回覧ノートに書く話題も結局は、将くんのことが中心になってしまっていたし、楽しい話題も書けなかった。みんなはどう思っていたのかもわからないまま続けていた。

今までは、将君が天国へ行ってしまって、自分が双子の親でなくなってしまったんじゃないかという思いが強くて、何でもいいから『双子』というものにしがみついていたかったのかもしれない。そうすることで自分の不安をごまかしていたのかもしれない。でも、結局は双子の親としての距離を感じるだけだった。

メンバーのみんなも将君が亡くなってから、私に対して色々心配してくれたりしていたんだと思う。それのことについては、本当に感謝しています。当時1才前後だったメンバーの子供たちもみんな幼稚園、小学校に入り、気がつかないうちに時間だけが経っていた。でも、将君だけがあのときのままの1歳半・・・

ずっとこだわっていた双子の親だけど、最近は、ほとんどこだわらなくなった。それは、自分の中に将君のいる場所がしっかりと決まったからだと思う。将君を思い続ける気持ちに自信が持てるようになったからだと思う。
人がどんなことを言っても、私の気持ちはかわらない。自分の中で将君はしっかりと根付いてそして成長している。

何ヶ月も出さずにいた回覧ノートに自分の気持ちを書いて、そしてみんなに挨拶のはがきを出した。私の中のけじめのために・・・

これで、またひとつこだわっていたカラをとることができた。
こらから、いくつもいくつもこのような経験をしながら将君を思う気持ちを自分の中で安定させていくんだろうな。
寂しい気持ちもないわけじゃないけれど、なんだかすっきりして気分。

この回覧ノートは、将君を失ったあとはじめて岩国の家に戻ったときに、ポストにこのノートが届いていて、すごく悲しかった思い出があります。
その封筒を触ることさえ辛くてできなくて、当時の友達にお願いして、そのまま次の人に回してもらいました。


2001年11月3日

色々と地域のの役員をしていると、週末ゆっくりと子供と遊んだりできないから私には不向きです。家族で週末出かけたいのにそれができないし、平日は、お友達と遊んだりお稽古があったりで、ゆっくりすることができないので、週末ぐらいゆっくりとふれあいの時間を持ちたいのにな・・・